画像: 「東京文化会館」

「東京文化会館」

週刊誌で今2つの連載を持っています。
ひとつはカメラとして参加している「On and OFF」。
これ、もう10年も続く企画です。
カラーページなので写真がメインとなるのですが、
担当されているライターさんの文章も毎回うなるほどに素晴らしいです。
もうひとつが、今日ご紹介するもの。
建築に関する連載です。これは新連載!雑誌の新連載をもらえるなんて夢のよう。
カラー、2ページ見開きで、執筆とカメラ両方を担当しています。
あと、建物選びも私がやっています。
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今回の東京文化会館、本当に見応えありました。
自分でこの建物を選んでおいて...、本当にいい建物を選んだな!って思いました。
上野公園公園口すぐ目の前にある東京文化会館。
前川國男の建築です。
前川という人はどういう人かと言うと、
新潟県出身の明治生まれ。戦争もばっちり経験しています。
20歳で東京帝国大学(現・東京大学)の建築学科へ進学。23歳でパリへ。
パリではあのル・コルビュジエに師事します。この時に色んなことを吸収したようです。
帰国してからは、アントニン・レーモンドの建築事務所で勤務。
あのプリツカー賞を受賞している丹下健三は前川國男の弟子です。
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東京文化会館は、東京都からのご指名で前川が建築することになりました。
56歳の時です。
東京文化会館の建設計画は、開都500年記念に上野の山に建てられることとなりました。
”開都”とは、江戸城築城のことを言ってるとか!太田道灌が城建築をしてから500年の記念です。
この頃すでに上野は少しずつ美術館が建てられていた頃でした。
寛永寺の膨大な敷地があったからこそ、上野は芸術と文化の集積地となりました。
前川はインタビューで、
「色んなものが建ってる上野で、全部がちぐはぐになっちゃだめでしょ~(意訳)」
みたいなことを話しています。
しかもすぐお隣には、師匠であるル・コルビュジエの「国立西洋美術館(西美)」がありました。
そこで、
まず日本家屋のような大きな屋根を作ることを考え、その高さを西美とおんなじにしました。
さらに、
その庇にはカーブをつけて、人が抵抗感を感じずに招き寄せられるようなデザインにしました。
美術館エリアの入口に位置したことも関係したかもしれません。
これも前川は、
「上野はたくさんの人が来るから、人を包み込むようなデザインにしなくちゃいけないよね(意訳)」
というようなことを言っています。
屋根も柱も角を取っている、そして足もともカーブを付けたところがあります。
西美側にガラスを多用して、中が良く見えるようにしています。
またモダニズム建築の特徴でもあるピロティ(軒下空間)を設けるなど、
完全に西美を意識した造りになっています。ちなみに西美にもピロティがあり、このシンクロは師匠への敬意を感じます。
さらに、
西美側だけ内部天井のカラーを外にも張り出させています。
(ピロティ柱部分まで天井が伸びている)
写真右側、少し青い天井が外に伸びています。
この青い天井、「成層圏ブルー」と呼ばれる前川のオリジナルカラー。
ランダムな照明が星のように瞬きます。
左に見える赤いのは小ホール裏側です。
前川は赤と青が好き。
会館内にもあちこちにあるので見つけてみてください。
無機質なコンクリに原色使い。なかなか面白いですよね。
エントランスロビーにはディテールいっぱい。
チラシがあるボックスの上には「江戸キンキラ」。
小ホールの彫刻や、大ホールホワイエにあるオブジェなどの彫刻家・流 政之の作品。
ここにはグリーンの陶板レリーフがあったそうですが、現在は改修されています。
床は幾何学模様。
ランダムに色が変えられている場所があり、これは落ち葉をイメージしているということ。
前川はここを外として見せていたようです。そびえる柱は樹木としていたそうです。
ここから大ホールホワイエへ。
途中、小ホールに向かう手すりがお洒落でした。
ドアにも素敵な取っ手があります。
ホワイエから見た大ホールです。
先ほど述べたとおり、ここはまだ外という概念なので、大ホールが中。
大ホールは台形に見えますが、
これは実は5階建てで、外から見るとしっかり台形なんですよね。
この台形の大ホール部分ですが、
全て砕いた大理石が打ち込まれています。職人さんすごい。
これは建築に2年以上かかるはずだわ...
ホール入口は、真ん中に柱。
これ、前川建築の特徴なのだそう。
大ホールの入口と西美の入口も、相対しているという話もどこかで読みました。
江戸キンキラ、中心は黒。
そして入口はピンク。このピンクは大ホールが近づくと増えていく色です。
入口脇は大理石埋め込み。この大理石埋め、狂気ですよね!職人さんおつかれ(笑)
そして内部です。
客席側からはこの日撮影できませんでしたが、舞台側から。
天井の三角の幾何学模様もすてきだし、ぱらぱらと色が散っているのは法則がなくて、
花畑を表現したとも、空席を目立たなくするためともいわれています。
一説には、
平面図の上で、折り紙をぱーっと散らして色を決めたとも聞きました。
壁面のオブジェは「音響拡散体」と呼ばれるもの。
前川が向井良吉に発注したもので、ブナ材を使い184パーツからできています。
残響の計算などはNHK技研が行っており、1.8秒というちょうど良いところに収まっています。
コンクリ打ちっぱなしに木目そのまんま。
素材を生かしたデザインです。
前川さんは法則がないのがお気に入りみたいです。
ホワイエから舞台、またバックヤードまでみせていただきましたが、
取材申し込みさせていただいてのこと。
普段は見ることができません。
但し外観やエントランスあたりは日常的に出入りが出来るようになっているので、
それだけでも十分に前川建築を楽しめますよ!
ということで、まだまだ書けそうな東京文化会館ですが、
本当に楽しい見学でした。
ちなみに現在の周辺はこんな感じで大変美しくない(笑)
早く上野駅の工事終わってくれないかなー
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