画像: 天ぷら成生(静岡)

天ぷら成生(静岡)

明日もしこの世が終わるなら、どこで何を食べますか?という、いわゆる最後の晩餐の話になることがある。
先日、静岡にある天ぷら「成生」へ二度目に行って、確実にここをその1軒にしたいと思った。
半年前に予約して、やっと行ける興奮もさることながら、その期待値を超える満足感が、そこにあった。
この日は、沼津の人気餃子「北口亭」にもランチで立ち寄りながらの静岡出張。
夕方17時の予約時間まで、いかにお腹の具合を最適に整えておくかが大事。
沼津でランチを終えると、鈍行(東海道線)でのんびり1時間かけて静岡へ。お仕事の打ち合わせを終え、フリータイム。
黒いTシャツに、乾いた汗の塩が吹くほどの酷暑の中、駿府城公園を散歩。偶然見つけた「紅葉山庭園」の茶室でお茶を飲み、庭園の滝で涼を取ると、良い時間に。
5分前に「成生」に到着すると、店先には水が打たれ、これまた涼しくていい感じ。
たった7席のプレミアムシート。
周りは、大阪や名古屋からのお客さんのようす。
揚げる様子が一番よく見える席に座れ、
ご主人志村さんの「成生劇場」がスタート。
澄んだ黄金色の太白ごま油。
温度が違う2つの鍋を駆使し、揚げていくのだが、成生では、天ぷらの前に、駿河湾の近海で獲れた魚のお造りが出てくる。
小ぶりなメイチダイ。
これを、さっと表面軽あげし、食べると甘い。
冷えた辛口の白(サンセール)と合う。
揚げる前、志村さんの顔色が変わる。
油の様子をぎゅっと凝視。
試しに衣だけ揚げて温度を計るようなことはせず、見て判断し、揚げ始める。
聞けば「そうですね、温度は見た目です、たぎりでわかりますね」という。
「たぎり」。
煮えたぎるの「たぎり」。
つまり、油に気泡が出てきたり、表面に揺れがでてきたり、たぎりを見て、温度がわかるというのだ。
タチウオが、驚くほどふわふわで、揚げる前よりふっくら膨らんでるのがわかる。天ぷらは脱水作業という人もいるが、志村さんいわく、「保水作業も大事」という。素材の水分を保ちながら、空気を含ませていくのだそうだ。
オクラが香ばしく、トウモロコシのようないい香り。キスも、ふわふわ。
そして、浜名湖の天然車海老が、頭と別の揚げかたで出てくる。頭の味噌も濃厚。東京や大阪からわざわざ食べに来る成生で、僕にとって故郷である「浜名湖」の車海老がこんなにも重宝がられるのが、静岡県民として実に誇らしい瞬間だ。
藁科川の天然あゆは、釣り師の方からほぼそのまま、触らないで、生かし込んで砂をはかす。鮎はとても繊細で触れたらそこから痛むそう。さっきまで生きてたやわやわの鮎を、氷でさっとシメ、背骨を持ち、まるで油で泳がせるように揚げ始める。
揚げたてをガブリと噛むと、湯気とともに、鮎特有の甘くて苦味のある香りが口に広がる。
ここで箸休め的な素麺がガラスの小ぶりな器で出てくる。ツユはクエだし、具には小柱が浮かぶ。
そして、20分以上前から、皮はもちろん、土すらついたままでメイクイーンが油の中で泳いでいるのだが、それがいよいよ完成に近づく。揚げたらしばらく余熱を入れ、懐紙に包んで手渡しされる。周りはガリッとサクサクで、中はホクホクの熱々、まるでマッシュポテトのように滑らかな口当たり、ねっとり甘い。食べ始めてしばらくたっても、冷めずに最後まで熱々なのは、成生流の揚げ方による保湿の魔法だ。
その技の真骨頂は、次に登場する大きな茄子にも感じる。茄子の皮の中には、油を一滴も入れないという。油を染ますことなく、ここまでサクッとフワッと揚がった茄子を、僕は知らない。天ぷらにおける衣が、茄子を美味しくさせるサポート。茄子の旨味、苦味、香りがこんなに感じられる料理が他にあるだろうか。茄子とは?を教えてくれる。なにもつけずに甘くて美味い。後半、少しだけ塩をつけて。
アマダイはバリッと鱗がついてて、その鱗の荒さと合わせるように、ここには岩塩の粗塩を。
そして、井川のトウモロコシには、揚がった上に、仕上げに生のトウモロコシを乗せ、その塩気と甘さ、温度差を口で楽しめる。
感動はまだ終わらない。焦げるほどに揚げられた玉ねぎだ。これも熱々を手で持ち、ガブリと行くよう促される。噛んで目を閉じると、もう言葉が出ない。たまに美味すぎて言葉が出ないことがあるが、玉ねぎという、ごく日常的な野菜で、これほどまで絶句することは、なかなかない。苦味と甘味が口に押し寄せ、夢見心地だ。
静岡といえば、夏は鰻だ。
この日は、地元静岡の海で獲れた天然うなぎ。わさびをたっぷりつけて食べると、これまた感動。鰻&わさびというと、白焼きをイメージするが、これが鰻の白焼きより旨味を感じられる。
そして〆は、天丼、天ばら、天茶から選べるのだが、土鍋でいい感じに炊き上がったご飯を見せてくれる。
「お米は、ジュビロ磐田の磐田の、磐田米でございます」
なんと。
僕のまさに故郷、磐田市のコメ。磐田米は、太田さんという農家が有名で、ヒデコ(母、でぶ)が大の仲良し。そこのコメしかうちでは食べなかった、あの太田さんかな?と思って聞いてみると、そうだった。志村さんいわく「磐田米は、べちゃっとしないので、天丼とかに合うんです」という。
まさに。お米大好きヒデコ(母、でぶ)はべちゃっとするご飯が大嫌いだった。静岡で、磐田米で、成生の〆をいただける感動。
デザートは浜松産のイチヂクを、皮ごといただき、素敵な余韻にひたる。
静岡産の素材のフルコースでいただく「成生」。
静岡県民にとって、こんな幸せは、ない。
最後に出された、静岡緑茶(本山茶)のほろ苦さと甘さに、48歳にして、緑茶は、これほどまでにぬるめ(多分60度ぐらい)がいいを、改めて実感。
明日この世が終わるときは、「成生」に行きたい。
静岡県民として、タミヤ模型と並ぶ、誇らしい名店です。
タミヤのロゴは星2つのデザインですが、この感動には、星いくつでも足りませんでした(^o^)
半年待てる方にオススメ。

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